1章<忘れらるる記憶>

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適当な木と、黴た布、それに古びた油で作った手製のたいまつに火を付ける。 暗い廊下が、静かな暖かさに照らされて、その姿を、わずかにあらわす。 冷たく、静かな、石で造られた廊下。 ところどころに、設置されたたいまつがあるらしく、俺はそれに火を灯しながら、歩いて行った。 しばらく進むと、何か異様な空気が漂っている。 これは・・・ いわゆる、“腐臭”って奴だ。 フォルトゥナ「くしゅっ」 レナス「フォルトゥナ・・・気をつけろ。何か居るみたいだぞ。」 ところどころ、床に啄ばまれた死体が転がっている。 盗賊・・・なのか? 石碑が閉じていたことから、おそらく城に入ってから、“何か”に追い立てられ、ここに逃げ込んだ、と言ったところか・・・。 とすると犯人は・・・。 ずしっ・・・と音がする。 空気が重たくなる。 このプレッシャーは尋常じゃない・・・。 フォルトゥナは、毛を逆立てて“何か”を威嚇している。 「ふしゅっ・・・ふしゅっ・・・」 暗闇の奥から、息を荒げながら、照らし出されたのは、 天井いっぱいまで、育ったでかい鼠だった。 レナス「おいおい・・・そりゃ育ちすぎだろうよ・・・。」
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