1章<忘れらるる記憶>

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そして、次々に暗闇の奥に光る眼。 どうやら、お化け鼠はこの辺の親玉鼠らしい。 鼠の恐ろしさは、その体躯の大きさではない。 その性格にある。 鼠はエネルギー代謝が非常に高く、一日に体重の60%以上のたんぱく質を取らなければならない。 つまり、その体を維持するために、常にはらぺこってことだ。 そんな鼠が目の前に100匹は軽くいる。 そしてそのうちの一匹は、俺の体の5倍はあろうかって奴。 レナス「・・・死んだかな。」 「・・・そうでもないぞ」 誰かが、そう言った。 周りには誰もいない。 レナス「・・・誰だ!?」 「ここだ、ここ。お主の腰にかかっておるだろう。」 レナス「腰って・・・この刀・・・か・・・?」 「そうだ。我は、ルプス。力ある者。我に力を請え。さすれば、力を与えよう。」 ・・・。怪しげな刀だぜ。 レナス「まぁ、どのみち選択肢はない。貸してもらおうか、その力。」 ルプス「よかろう。」 と、刀が言うと、鞘からその刀身が出てきた。 レナス「なんだこりゃ、錆びてるぜ。」 ルプス「刀も限界なのだ、勝機は一度。思い切り振ればそれで良い。」
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