1章<忘れらるる記憶>

13/16
前へ
/56ページ
次へ
言われるがまま、襲いかかろうと待ち構える鼠達に一振りかましてみた。 空を切った刀から、物凄い波動が発せられて、 鼠達も、俺も、フォルトゥナも吹き飛ばされた。 レナス「・・・っ!なんだこりゃ!俺らまで殺す気か!」 刀を見ると、その衝撃で折れてしまっている。 吹き飛ばされた衝撃で落としたたいまつの光に、 地面に刺さった折れた刀身と、血だまりが照らし出されている。 ルプス「ふむ・・・。やはりな・・・。」 レナス「んん?なんだ?」 ルプス「いや、なんでもない。それより、刀が寿命で折れてしまった。ひとまず、我に依り代を与えてくれ。」 レナス「依り代?」 ルプス「そんなことも知らんのか。まったく無知とは恐ろしい・・・。我は力ある者。だが、それを現世で体現するには、何か依り代が必要なのだ。つまり、“物理的な何か”だ。」 レナス「・・・大したもんはないぞ。」 ルプス「なんと・・・!赤貧の身は辛いものだな・・・。」 レナス「うるさい。」 むっとしていると、刀が急に重くなった。 ルプスが、抜けたのだろうか。 ルプス「しばらく、この猫・・・のようなもの、借りるぞ。」
/56ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加