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「この子・・・・未来・・・そう」
記憶の中でこだまする、男の声
「あ・・・うま・・・・てくれ・・・よか・・・・そし・・・ご・・・さい・・・。」
もう二度と、聞くことのできない、母親・・・の、声
目が覚めると、目の前にはまっ白い壁。いや、天井か。
長い・・・長い夢を見ていたような気がする。
砂の混じった風に、カーテンがゆられている。
窓辺には、白い光がたゆたって、
俺の体は、砂だらけだ。
砂を払いながら、ベッドを下りる。
起きたばかりで多少浮ついている感覚がするが、問題はないだろう。
不幸なことに、ここにはシャワールームなんてたいそうなものはなかった。
洗面台に立って、くすんだ鏡をのぞき、そしてその時、初めて気づく。
僕は・・・誰だ!?
言いようのない焦燥感。
必死に思い出してみようとしても、記憶の中は、まるで闇。
なんのつかみどころもないまま彷徨っていく。
額に滲む汗。早くなる動悸。
開け放した扉から、ひときわ強い風が吹く。
微かに懐かしい、匂いがした。
記憶がフラッシュバックする。
白衣の男、不安げな人々、幼子の俺。
そして、俺の名が呼ばれた。
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