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「お疲れ様。今日も疲れたねー」
砕けた言葉で話し掛けながら、ピンクもとい桜庭さん(彼女の本名。他のやつの本名は忘れた)がコーヒーを手渡してくれる。
気さくな桜庭さんは、普段はファミレスでバイトしながらヒーロー業も平行して行うというハードな毎日を送っている。
偉い。
なのにいつも笑顔で、疲れなど微塵も見せずに明るく振る舞っている。
健気だよなぁ。
可愛いし。
優しいし。
俺そういう女大好き。
アクの強い俺たち「地球戦隊!マモルンジャー」だが、桜庭さんの存在があるからこそ、今までバラバラになることもなくやってこれたのだ。
今までのことをしみじみ回想しつつコーヒーを味わっていると、桜庭さんが俺を見て、微笑んでくれた。
どぎまぎしながら、思いきって話し掛けてみる。
「あ、あの、桜庭さん」
「なあに?おかわりならいっぱいあるよ」
「今度さ、どっかに出掛けない?……二人で」
「えっ……」
ほんのり頬を染める桜庭さん。
これは脈ありだよな?な?
「え、映画にで」
言いかけたところで俺の言葉は遮られた。
「モンスター出現!」っていう警報音で。
まじ空気嫁。
ブザーがビービーと五月蝿い。
もううんざりだ。
コーヒーをぐっと飲み干し、立ち上がった。
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