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《えっ?浮絵さんが携帯電話に出ないって?》
「あぁ、二日前から何回かけても圏外で…ワカメお前何か聞いてないか?」
残った有給休暇で職安に出向いていたカツオは昼休みを狙って仕事中の妹ワカメに電話をした。
《別に何も…浮絵さんと何かあったのお兄ちゃん?》
ワカメの声の後ろで子供達の声がした。きっと忙しいワカメは昼休み校庭の隅にでも行き自分の電話に出てくれているのだろう。
「一昨日電話で話してたらさ、肝心な所で携帯の充電が切れちゃって…浮絵さん何か大切な事僕に言おうとしてたみたいなんだ。」
《大切な事ぉ?》
微かにワカメの声のトーンが上がった。
「何かあったのかなって心配になって…」
《解ったわ、私からも連絡取ってみる…》
ワカメは忙しそうに電話を切った…
(ハァ~…しかし何であそこで充電が切れるかナァ。)
カツオはサンドイッチを頬張ると職安の新しい求人広告の列に並んだ。
(確か浮絵さん職場は八王子だって言ってたよな。)
カツオは少し考えた後今度は浮絵の兄で現在ペットの葬儀屋を経営している伊佐坂甚六に電話をかけてみた。
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