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「まぁ後先考えないデリカシーのないお兄ちゃんの事だからだいたい想像はつくけどね!」
「何だよそれ随分な言い方だなッ!」
カツオは妹に喧嘩ごしになっている自分を落ち着かせようと一度息を吐いた。
「何て言ったの、浮絵さんに…」
「何てって…僕は…」
ワカメはグッとカツオを睨み付けた、いい加減な返事はこの妹には通用しないわよと言わんばかりに殺気立っていた。
「僕はただ好きな人はいるんですかと…その後から浮絵さん少し様子が変わって来ちゃって…」
「好きな…アチャ~!言ったぁ、それ言っちゃったんだぁ?」
ワカメは掌でオデコをパチンと叩き頭を抱えた。
「こないだ渋谷の交差点で男性といる所を目撃してさ、それでピンと来たんだ…彼氏なんだろなって…でその事浮絵さんにしたらいきなり怒り出して…」
「………」
ワカメはまだ頭を抱えて動かなかった。
「それ彼氏じゃないよ…多分」
「へ?けど浮絵さん好きな人がいるんだって…」
「お兄ちゃんが見た人は彼氏なんかじゃないよ。」
カツオは崩れ落ちそうなワカメを見た。
「じゃ誰あれ?」
ワカメがいきなり歩き出したのでカツオも必死に食らい付いた。
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