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ワカメは早足で駅に向かって歩いた。カツオも負けじと追い付きながら待てよと呟いて歩いた。
「何でついて来るのよッ、私今から教育委員会の研修に行くのよ邪魔しないで!」
「ってか話はまだ終わってないだろ!お前何か隠してるだろッ、白状しろワカメ!」
「てかお兄ちゃん今日仕事はどうしたのよッ?」
「仕事ぉ?んなもん辞めたよ仕事はッ!」
「!ッ、やッ、辞めたァ~ッ!?」
あッヤベー!
つい会話の流れで口をついてしまった秘め事にカツオは口を塞いだ!ワカメは信じられないといった表情でカツオを見た。
「ち、ちょっとお兄ちゃん辞めたってどういう事よッ、冗談でしょ?」
足が止まりワカメの矛先がカツオに向けられた。
「そ、そうだよ言葉通りだよッ、辞めたんだよ仕事!」
こうなりゃ開き直るしかない…妹に遠慮してどうなるものでもない。
「どういう神経してんの?仕事辞めたって世間は今どんな状況か解ってるの?」
「んな事ワカメに言われなくったって百も承知だよッ、僕に合わないから辞めた、それだけだよ!」
「ハァ~?、呆れた!よくそんな事を偉そうに言えるよね!」
路上でワカメとカツオの口喧嘩が始まると何だ何だと人の塊が現れ始めた。
「だいたいお前が変な事言うからッ!」
「変な事ぉ?私がいつお兄ちゃんに変な事言ったのよ!」
見知らぬ老人がまあまあと二人の間に仲裁に入った…
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