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「い…今何て…?」
ワカメはシマッタという顔で思わず天を仰いだ。カツオはワカメの言葉をもう一度聞き直した。
「浮絵さんが…告白できない…僕に…はぁ?」
「ゴメン忘れてッ、今のナシナシッ!」
ワカメは取り返しの付かない顔をしながら一刻も早く人だかりから抜け出そうとまた駅に向かい歩き出した。
(浮絵さんが…告白…僕に…つ、つまり…え?…どういう事ぉ?)
カツオは立ち尽くしたまま必死にワカメの言葉を咀嚼しようと試みた、しかし頭が混乱して思うように考えがまとまらない。
(浮絵さんがこないだ言っていた好きな人って…どうしようもないロクデナシって…まさかまさか…僕の事ぉぉッ!?嘘ダッロッ?)
何だもう喧嘩は終わりかと人だかりの野次馬の輪が次第に解けていった…
(有り得ない…どう考えたってあの浮絵さんが僕に…イヤイヤ絶対に有り得ないッ、ワカメの奴どうかしてるんだ…そうだよ、あいつも以前恋愛ボケになって頭がどうにかなっちまってるんだ…だからあんな戯言…)
浮絵が自分に恋心を抱いている、どう考えてもそれは有り得ない事だとカツオは何度も何度も繰り返していた。
「わッ、ワカメお前…て…何処に行ったッ!」
いつの間にかワカメの姿は跡形もなく消えていた。
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