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「はぁ?宅建主任ん?」
「そうよッ、磯野君私と約束したじゃない、大人になったら絶対花沢さんちの不動産屋の後を継ぐって!ちゃんと資格も取って花子を幸せにするって!」
ある日の日曜日朝早くからカツオは小学校時代からの同級生である花沢花子に呼び出された。
「んな事言ってないよ僕ッ、っかそれっていつの話だよッ、小学校の時の約束なんか約束のうちに入るかよッ!」
「けど約束は約束だかんねッ、私って幾つになっても執念深いのよ、フォフォ!」
頼むから朝っぱらからガンガン頭痛のするような話題を持ち出すなよとカツオはため息をついた。
花沢花子は世田谷にある花沢不動産の一人娘で自称カツオの許婚でもある。この歳まで独身でいたのはもちろん男性に縁がなかったせいでもあるが実はそれだけではない。
「だいたいアルミサッシの営業マンなんて磯野君には向いてないんだから、やっぱり磯野君にはきちんとした資格を取ってもらって将来花沢不動産を背負って立つ若社長に…」
「はいはいもう解ったから…ハァ~」
いくら片意地の張らない幼なじみの親しい同級生とはいえそんな無粋な話ばかりではせっかくの美味しいコーヒーがまずくなる、カツオは先に喫茶店を出ようと席を立った。
「知ってた磯野君…カオリ、結婚するみたいよ?」
「え……?」
カツオの足が一瞬止まった!
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