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「世間体ばっか…」
「あん!何か言った?言いたい事あんならはっきり言いなさいよホラ!」
「姉さんだって世間体ばっかじゃないかッ、僕がいつ無職やニートにならないだろかっていつも近所に冷や冷やしてさッ、そんなに弟がプー太郎になるのが恥ずかしいのかよッ、僕の今持ってる気持ちとかそんなのをまるきり聞こうともしてくれないでよく言うよッ!」
「ちょっと自分の出来の悪さを人のせいにしないでよッ!アンタがもっとしっかり生きてりゃこんな事にはならなかったんじゃないのッ!?」
「しっかり生きるって何なんだよッ、訳解んないッ!」
「やめなさい2人ともッ!」
フネの制止も効かずサザエは続けた。
「えぇえぇなら好きにすればいいわよッ、アンタが野垂れ死のうと何しようと私は助けはしないからねッ!」
カツオも立ち上がり睨み返した。
「フンッ、そんなのこっちから願い下げだよッ、分からず屋姉貴の言う事なんて信用出来るかッ!」
カツオは吐き捨てるように玄関を出て行ってしまった…
「カツオッ、カツオ!」
「放っときなよ母さんッ、ちょっとはあの頑固頭冷やした方がいいんだから!」
サザエは椅子に不機嫌に腰掛けると苛立ちをどこにぶつけようかとワァ~と叫んだ。
(カツオ……)
フネだけはカツオのやり切れない想いの余韻をただ切なく感じていた。
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