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「け、結婚…?嘘だろ?」
「やだこれって言っちゃダメだったの、私ったら…」
花沢花子の顔は笑ってはいたが明らかに悪意に満ちていた。以前から隙あらばカツオとカオリの仲を裂こう裂こうとしていた位だからそれくらいは朝飯前だろう。
「誰と?…そんな話聞いてないよ僕!」
「磯野君、カオリから別れてくれって言われたんでしょ?いきなり結婚するってのがその最たる理由なんじゃないの?」
カツオにはまさに寝耳に水だった。カオリが結婚…それが本当だという事はつまり自分と別れたのは他の男性と結婚したかったからなのか!
カツオは踵を返し花子の元に駆け寄った。
「相手は誰なんだよッ!花沢さん知ってるんだろ?」
「ど、何処の誰だかまでは私の情報網を駆使しても解りっこないわよッ、もういいじゃん磯野君、過去の女の事なんて忘れてさ、目の前の熟れた果実を…ち、ちょっと磯野君!」
カツオは喫茶店を駆け出していた、悔しくて悔しくて涙が出そうなのを必死で隠そうとただあてもなく走り続けた。
(チキショ、チキショ…カオリの奴…なんで…なんでだよッ!)
「私って…KY…?」
喫茶店に一人残された花子はただじっとテーブルに置かれたレシートを見つめた。
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