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洋風の地中海料理専門のレストランはステンドグラスの明かりが店いっぱいに幻想的な世界を作り出していた。
「どう?たまにはこんな雰囲気もいいんじゃない?」
「あ…そ、そですね、アハハ…僕いつも駅前の居酒屋ばっかだから…」
カツオのいつになく緊張する顔つきに伊佐坂浮絵はテーブルに頬杖をつきフフフと笑った。
「カツオ君からお声が掛かるなんて珍しいな~。」
「あ、はは…そうでしたよね、いつも浮絵さんに逢うってぇとワカメが何でも仕切ってましたから。」
カツオは少し視線を外すようにそれでも浮絵の顔を横目で追い掛けていた。
(やっぱ浮絵さんいつ見ても綺麗だ~…ホント吸い込まれそ♪誰が見ても今年で36歳だとは到底思えないよな~…)
真っ黒なスーツに身を包んだ伊佐坂浮絵は栗色の長いストレートを手でフワッとかきあげた、同時にカツオの周りに爽やかなリンスの臭いが漂う。
「で…話って?」
ウェイターが注文を取りに来たのでカツオは安いほうのディナーコースを注文した。
「あ、そうでした、実はワカメの事で…」
「ワカメちゃんの?」
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