701人が本棚に入れています
本棚に追加
「えぇっッ、わ、ワカメちゃんがストーカーぁ?」
「しっ、声大きいですよ浮絵さんッ!」
前菜のサラダにドレッシングをかけながら浮絵はカツオの言葉に目を丸くした。
「ストーカーって誰を?」
「話せば長くなるんですが聞いてもらえますか?」
カツオはおもむろに姿勢を正した。
「どうやらワカメは妻子ある同じ高校の同僚の男性教師に恋したらしくて…執拗にその男性に付き纏っているらしいんです。」
「妻子ある男性に付き纏うってどういう事?…初耳よそれッ!」
浮絵の切れ長の瞳がいつになく大きく見開いた。
「僕も相手の男性にどこまで迷惑を掛けているかまでは解らないんですけど…姉さんが風の噂で聞いたらしくて。」
「つまりそれって略奪…いや、待て待て慌てるな浮絵ッ…」
浮絵は動揺している自分を落ち着かせるかのようにグイッとグラスのビールを飲み干した。
「詳しい話を聞き出そうとワカメを追求すればするほどアイツ卑屈になって…」
「ダメよ、ダメダメッ、繊細なワカメちゃんにそんなストレートはダメだよ、カツオ君!」
浮絵はただ事ではないワカメの現状にただ慌てるばかりだった…
最初のコメントを投稿しよう!