最後の日

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「こんな話信じる奴は若月と上田以外・・・実際は若月と上田も疑っていただろう。人間は自身より劣っている人間の話には耳も傾けない生物だ。俺の親父や兄貴だってそうだった・・・」 「二宮・・・」 俺は勇助が俺の名を呟きはっとなった。今は愚痴をこぼしている場合ではない。 勇助に俺の考えを説明している最中だった。 「・・・と、とにかく、これが俺が十四年間生きてきた経験を元に出した結果だ。 『関わらない』それが一番良い方法だろうよ」 「・・・そうか」 勇助は一言言って黙った。給食の時も勇助は黙ったままで、何も喋ろうとはしなかった。こちらからも声は掛けづらいし・・・。 少し進み、今は放課後。授業も全て終わり、後は帰るだけとなった。 俺が勇助に言った事は藤田にも言ってある。 「お前は本当にそれで良いのか?」 「良いんだよ。俺だって自分の身は守りたいものだからな」 色んな生徒が帰ろうと玄関に集【たか】る中、俺と藤田は帰り道が一緒なのでのんびりと話をしながら歩いていた。 今回の失踪騒ぎ、いや、実際は騒いでいたのは俺らだけだったが、まだ俺の胸中にある胸騒ぎは治まらない。まるで、このままで良いのかともう一人の俺が訴えているかのように。
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