25人が本棚に入れています
本棚に追加
「お前だって本当は解ってるんだろ? 勇助の気持ちはさ。
それに、勘の鋭いお前がそんな簡単に"勘違い"で済ませるとは、俺には思えないけどな」
藤田は横で俺に語り掛ける。
・・・俺だって解ってはいるさ。
勇助だって本来は俺とは同じ気持ちなはずだ。俺が何かの異変を感じているように、勇助だって何かの異変を感じている。・・・と思う。でなければあそこまで真剣にはならないしな。
もしこの世界に何か深刻な問題が起きているとすれば、出来る事が有るならばしたい。
でもまだ躊躇【ためら】いがある。
もし合ってたとしたら、やがてそれは日本全国に伝わり、全国はパニックを起こす。
ハズレの場合は俺がみんなから一生変な目で見られる。
言わなかった場合も同様だ。
何しろ人が消えるのだから。
・・・進むも地獄戻るも地獄か。
「・・・はぁ、何か世界の運命を俺一人に委ねられた気分だよ。
放送はみんな冗談だって思ったのか、誰も俺んとこに来なかったから良かったけど・・・」
「そうだなぁ・・・ん?」
藤田は何か気がついたようだ。
「どうした?」
俺が尋ねると、藤田は有る一つの『作戦』を言う。
「賭けに出るか」
「・・・賭け?」
「そう」
その作戦とは、『賭け』なのだ。藤田はこういう事になると頭が冴えるらしい。ここは一つ彼の話も聞いておこう。
最初のコメントを投稿しよう!