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藤田は合図を送って直ぐ、靴を履き終わり一足先に外へと出た。
俺もそれに続き半分まで履いていた靴を一気に履くと、外へと駆け出す。
「さぁ、行こうか」
玄関入口で待っていた藤田は、俺が来たと同時に歩き出した。その後を追い、俺は隣に並ぶ。
・・・どうやら俺の感じ取れた異変は、胸騒ぎだけではなさそうだ。その理由として、何故だか、藤田と並んで歩くのはこれで最後になりそうな予感だ。直感だがそう思った。
「おい・・・ニノ・・・」
もし最後になるんなら俺は・・・。
「おい、ニノォ・・・」
俺はこいつと少しでも長く共に居たい。
・・・そう思っている。
「おい、ニノォ!!!」
「はっ、ハイィィィ!!?」
「お前人の話聞いてんのかよ!」
・・・うっかりしていた。
俺の癖だ。
一つの事を集中的に考えるとつい自分の世界に浸ってしまう。治そうとはしているのだが・・・。
「ったくよぉ、どうせまた縁起でもねぇ事考えてたんだろ」
「うっ・・・」
人に勘が鋭いとか言う前にお前も十分鋭いじゃないか!
・・・と言ってやりたい。
「俺は大丈夫だよ。
ダチとしてお前からは離れねえからな」
藤田は笑顔を作り、親指を立て、それらをこちらに向けた。
何だか安心する。
藤田の一言は時に俺を良い気分にさせてくれるものだ。
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