最後の日

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居間へ行くと、既に母さんが起きていた。母さんは椅子に座り、テレビを見ながらコーヒーを飲んでいる。 ズズッとコーヒーを啜り終えて、居間への入口付近にボーッと突っ立っていた俺に気付き声を掛ける。 「あら、竜二。あんた起きてたの?」 「ああ」 短い返事をして、のそのそと居間へ入って行く。母さんがずーっとこちらを見ているが、そんな事は気にせずに母さんの反対側の椅子に座った。 その瞬間・・・。 「っ!!!」 「?」 頭に物凄い痛みが走った。痛み故に頭を抑えるが、その間、俺の視界はネガが掛かったかのように色がおかしくなり、更には視界の端から中心に掛けて黒く染まっていった。 「あ、・・・くぁぁ・うかぅ・・っ・・・」 声にならない声を上げる俺に母さんは声を掛けた。 「お前・・・学校行くの面倒臭いからって変な態度取るなよ」 この程度だが・・・。 俺はわざとしている訳ではない。本当に痛いのだ。 「・・・うぅ・・もういい、俺はもう学校に行く・・・!」 「はぁ? あんた何言ってんの? まだ七時にもなってないってのに。しかも飯も食わないで」 母さんは呆れた様子だった。それもその筈、起きてきていきなり頭を抱えて唸り、挙げ句の果てには「もう学校に行く」だ。呆れない親はいないだろう。しかし俺はそんな母さんの態度を無視し、痛む頭を抱えながら身支度を済ませた。 全てを終えた時には時間は既に七時。兄貴らは今起きるところだ。
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