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相手は姿が見えない不可視の人間だ。声を出さなければ、歩く音すら聞こえ難い。そういえば、怒口露は犬が出す悲鳴のような声を出したな。
「姿こそ見えないが確実に近付いて来てるだろうな・・・」
「ど・・・どうしよう・・・」
クラスでかなり頭が良く、冷静な判断が出来る代議委員様々もやはり人間でない者相手では冷静さを欠いてしまうか・・・。
でもこんな時こそ冷静に判断しなければ。ただ混乱しているだけではどうしようも無いではないか。
隣であたふたしている梅村を余所【よそ】に俺は今朝の出来事を頭の中で回想していた。
(今朝不意打ちを喰らった時俺はどうした?
襲い掛かるあいつを先ずは蹴り飛ばした。次に水を掛けたが・・・今は水はない。が、水を汲んでくれば・・・!)
一通り作戦は浮かんだ。
「おい、梅村!」
「な、何!?」
「今直ぐ水道に行って水をバケツ一杯に汲んで来い! 大至急だ!」
「わ、分かった!」
俺の指示に従い、梅村は即時に体育館を東側(校舎に繋がる)から出て水道に向かった。
俺は中にいる透明人間が逃げ出さぬよう、東側の扉は閉めた。壁寄りに移動し、透明人間が侵入してきた西側も閉める。
「さて・・・掛かって来い!」
一言叫び、適当にあいつがいそうな場所へと歩いた。そして大体中央に来た時、俺は何かに掴まれる。
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