無人の町

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「来やがったな!」 先ずはその掴まれている手の位置を確認する。 (場所は両肩・・・) もがきながらも、その場所を把握して今度は手の位置から推測した腹の場所へパンチをお見舞いする。 「おらっ!」 そのパンチが決まると、最後に頭を引っ掴んで膝蹴りを入れてやった。膝蹴りが決まった透明人間は、手を離すとヨロヨロと後ろにのけ反り、少しして倒れた。 「このやろっ!」 最後に頭を踏み潰し止めを刺した。予想を遥かに越える柔らかさだ。こういった感触や音は嫌だが、これも生き残る為。仕方の無い事だ。 そっと足を上げると、やはり嫌な音と共に血肉(見えるのは血のみ)が靴の裏から伸びてる。それを目にした俺は、我慢仕切れずに体育館の右隅に在るトイレに走り、一気に吐いた。 「はぁっ・・ぁはぁっ・・・うおえっ・・・」 一通り吐き終えたが、それでもまだ気分は余り良くならない。 意識がボーッとしていて、自分の吐いた胃液を暫く見ていると、不意に体育館側から大声が聞こえた。 「二宮君、どこ!?」 ・・・梅村だ。 どうやら戻って来たみたいだ。これ以上心配は掛けてはならない。 「・・・今行く」 小さく呟いてから汚物を流し、俺はトイレを出た。
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