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「そうだけど、やっぱり私がここにいてもアレだから・・・」
「気持ちはありがたい。
しかし、もし中野が戻って来て蛻の殻、しかも中央付近に血が付いているのを見たらパニクるに決まってるだろうよ。
仲間を集めに来た事実が知られた今に言うのもアレだが、俺は一人で行こう」
「そんな! 私も一緒に行く!
お願い! 一緒に!」
梅村は必死な目の上目遣いで言いながら迫る。そんな梅村を俺が放って置ける訳も無く、考えに考えを積んだ末、梅村も連れて行く事にした。
「・・・分かったよ。まぁ、ただし、もしも途中で何か有っても責任は負えんからな!
俺だって自分の身を守るのに精一杯なんだから」
「うん。実はと言うと一人でいるのが少し心細いの。
私も付いて行く以上足手まといにはならないから」
言った梅村は先程とは違い、何か決意をしたかのような真っ直ぐで力強い瞳をこちらに向ける。
何だか可愛らしい。
「よし、なら何かしらのメッセージを残しておこう」
「メッセージ?
どうして?」
言いながらきょとんと首を傾げた。
どうしてもこうしても、いきなりいなくなれば心配するに決まってるだろうに。
「心配掛けさせない為だよ。
何故いなくなるのか、伝える為にな」
メッセージを残すならそこの血だろう。少し不気味だが、何も残さずに心配させるよりはマシだ。
「そうだね」
梅村は頷いて中央まで行くと、床に付着している血でその近くにダイイングメッセージにも似た血文字を書いた。
「・・・心配しないで下さい、と」
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