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書き終えて指に付いた血をハンカチで拭い、こちらに戻って来た。
「さて、行くか」
「うん」
こうして梅村と俺は共に歩き出した。
そういえば梅村の今の格好は制服だ。俺はみんなが目に付きやすいと、この格好でいるのだが、梅村は本当に学校に行き授業を受けようと制服だったのだろうか?
んまぁ、どうでも良い話なので敢えて聞きはしないが。
「あのさぁ」
頭の片隅で考えていたその時、隣に並んで歩いている梅村が突然声を掛けて来た。
「何だ?」
俺が聞き返すと、急に声を潜めてこう言う。
「後ろから何かが付いて来てない?」
「・・・え?」
それを聞いた途端ピタリと足を止めてしまった。俺は気付かなかった。でも彼女は気付いた。ひょっとして梅村は不思議な隠れた才能が有るのか?
直感だがそう思った。
梅村の言う後ろに意識を集中させてみた。本当に何かがいるかも知れない。しかし俺らが足を止めた為か、後ろにいるであろうそれは動く気配や存在感は全く無い。
「俺には分からないな」
「本当?
じゃあ見てみよう」
小声での会話の中で梅村は言うと、俺が止めようと言葉を発する間もなく梅村は振り返ってしまった。
その瞬間だった。
「きゃあぁぁぁ!!!」
梅村は悲鳴を発しながら尻餅を着く。
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