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「梅村っ!?」
梅村が見た方向、即ち後方に振り向くと、何とそこにはコートを纏った異様なオーラを発している男が立っていた。
「っっっ!!!」
俺は言葉にならない叫び声を上げ、二、三歩後退った。
「フン。まだこの世界に生存者が存在していたとはな」
男は鼻で笑い言った。その声で俺は正気に戻る。そして正気に戻った途端、目の前の男から物凄い恐怖感を受け、頭の中には真っ先に『逃げろ』という三文字が浮かんだ。
こいつは・・・やばい!
「梅村! 立て! 走るぞ!」
尻餅を着いて放心状態の梅村を無理矢理立たせて引っ張るようにしてその場から連れ出した。
梅村は未だに放心状態で、ただ引っ張られるまま着いて来ているといった感じだ。
「はぁ、はぁ・・・!」
今はただ何も言わずに続いている道を走るのみ。何故かは分からないが、捕まればただじゃ済まない気がしたからだ。
「はぁっ、はぁっ・・・梅村・・・!」
走りつつ梅村に声を掛ける。そのこちらを見た表情は恐怖の色で染まっていた。
「あいつ・・・」
走りながら一旦後ろを振り向いた。
するとそこに男の姿は無い。俺達が角を曲がったという事も有ってか、どうやら上手く撒いたようだ。
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