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「梅村・・・だ、大丈夫か・・」
梅村の今の状態はかなりまずい。まともに答えられるかは分からないが心配が有るので、尋ねてみた。
すると梅村の口からは驚くべき言葉が飛び出した。
「私が学校で見たのあいつだ・・・」
「な・・・何だって!?」
そう、横切った二つの紅い光とはあいつの事だったのだ。紅い光は恐らくあいつの両目だろう。元々あいつの目は紅いから、それが光の反射等で光っているように見えたのだ。
「もしそうだとしたら、あいつはただの人間じゃ無いようだな」
「そうだね・・・。横切った時のあの速さ。まるで高速移動でもしてるみたいだった・・・」
「高速移動か・・・。
おっと、こんなとこで時間を食ってる暇は無かったな。早く奴の元へ急ごう!」
「そ、そうだね・・・」
互いに言葉を交わし、奴の家へと急ぐ為に走り出そうとした。しかしその刹那、またしても奴の声が俺の耳へと入って来た。
「・・・貴様ら、暫し待て」
「!」
奴の凍り付くような冷たい声は、瞬時に俺の全身へと伝わり鳥肌を立たせた。同時に凍り付いたかのようにその場から動けなくもなった。
唯一動かせる首を梅村に向けると、彼女もその場から動こうとはしていない。同じく首をこちらに向け、恐怖故か蒼白になった顔を晒している。
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