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「驚くのも無理は無かろう。我が肉体、及び細胞は特別なのでな。この"読心術【ちから】"も我が細胞が故だろう。
フッ、まぁよい。ここで無駄に時間を費えては敵わぬ。
・・・さらばだ」
男は言って、一瞬の内にその場から姿を消した。
「あっ、ちょっ・・・」
俺はその男がいた場所へと捕らえようとするかのように手を伸ばす。手はやはり宙を掻いただけだった。
だが身体が自由に動いた事からすると、どうやら男は去り際に拘束を解いたようだ。
「梅村・・・どうやらもう動けるみたいだぞ」
梅村に一声掛け、同時に顔を向けた。俺の言葉が掛かったからか、梅村は安堵の表情を浮かべると、同時に溜め息を吐いた。安堵からの溜め息だ。
「こ・・・怖かったよ・・・」
安堵し、溜め息を吐いたかと思うと今度は力を無くし地面に座り込んだ。しかし今のその表情からは、"恐怖"という感情は少なく寧ろ安心の方が多いかも知れない。
「男の俺でさえも恐ろしかった。それにあいつの目・・・。あいつの目からはとても言葉からは想像も付かない程の憎しみが感じ取れた。
それも俺らに向けられたとてつもない憎しみ・・・。あいつは一体何だってんだ・・・」
「分からない。でもこれから色々と明るみにになってくるかも知れないね。直感だけど、あの男はまた私達の前に現れるだろうから・・・」
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