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「そうだよな・・・」
その時は奴は敵か・・・或いは味方か。それは分からないけれど。でもどんな障害が立ち開かろうとも俺は皆と共に生きてこの町を出る。
(その為には早くあいつの賭けの結果を確認しに行かなきゃな)
頭の中に一瞬藤田の顔が浮かぶ。その藤田は少し淋しげな表情をしていた。・・・余計に会いたくなってくる。
「・・・急ごう」
梅村が言う。
「おう、そうだな」
梅村が先陣を切って歩き出した。それに続いて俺も先を行こうとする。だが、その足取りは男がさっきまでいた場所に落ちていた黒光りする物体により止められた。
「梅村、ちょっと待て」
一言言ってその鈍く光る黒い物体の元へと歩み寄った。
少し細身で、僅かながら茶色掛かったそれを手に取った時、頭の中で浮かんでいた物と、視界に写る物とが一致する。
「これって・・・『コルト M1848 ドラグーン』じゃねぇか?」
「・・・は?」
手に取ったドラグーン・モデルを拾い上げ、梅村の方を見たが、梅村は当然何が何だか分からないような顔をしている。
俺は拳銃等に興味が有った為、趣味で調べたりしていたがまさか実物をお目に掛かれるとはな。
「ちょっと・・・どうして拳銃が!?」
「恐らく・・・さっきのあの男が去り際に落としたんだろう」
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