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男とのやり取りが有った後俺と梅村は早々に藤田の家へと向かっていた。
やはりこの町には、目には見えない“何か”が潜んでいる。藤田の家に向かう途中にも数体程度だが襲って来た。だがゾンビの細胞が肉体内に入ると奴らと同じになるように、奴らは透明だからその細胞が体内に侵入すれば何か異変が起きるかも知れない。その事を恐れた俺達は、襲われる度に攻撃はせず振りほどく形で奴らを回避してきた。
それを繰り返しながら進む内に相応の時間は掛かってしまったが、怪我をする事無くとうとう藤田の家に着いたのだ。
「・・・何だか・・・随分と静かだね・・・」
ふと梅村が呟く。
そう言われてみれば確かにそうだ。車が通って無ければ、人すら通っていない。
静まり帰った町は不気味なものだ。
藤田の家からも全く気配が感じ取れ無い。
「まさか藤田君も・・・」
「止めろよ。そんな考えする前に入ってみようぜ」
「・・・分かった」
何故か梅村は暗い顔をしながら、渋々藤田宅の家の戸を開けた。
田舎の一軒家のようなガラガラというような音がやけに響き、不気味な辺りはよりそれをより一層増す。
「は、入るよ・・・」
一言言って梅村が中へと入り玄関直ぐの居間へと続く扉を開ける。
「うっ・・・!!!」
その瞬間、梅村は手で鼻と口を抑えつつ外へと飛び出して来た。その理由は俺でも分かった。何故なら、扉を開けた瞬間、外にいても分かるぐらいにとてつもない異臭が漂って来たからだ。
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