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「うぅっ・・・何なんだこの異臭は・・・!」
それは外にいる俺までも鼻を塞ぐ程だ。
俺は藤田の家には何度も入っている事が有り、分かるのだが、あいつの家はかなり散らかっている。しかし、今までこのような臭いがした事は一度も無い。となると、つい最近にこの臭いの元が発生した事になる。
「・・・まさか!」
ふと一つ思い当たる点が頭を過ぎった。
隣でまだ鼻を抑えている梅村を無視し、今度は俺が中へと入る。そして梅村が途中まで開けていた半開きの扉を開けた。
それで全てが分かった。
俺はその場で動けぬまま、直視し続けた。この眼下に広がる光景は、この先二度と忘れる事は無いだろう。
「に、二宮君・・・? 何して・・・」
背後からの梅村の声で我に帰った。咄嗟に梅村を止めようとしたが既に遅く、梅村は俺と扉との隙間から全てを見てしまった。
「あ・・・あ・・・」
“それら”を見たと同時に梅村は腰を抜かし、地面に尻を着く。どうやら叫び声を上げたいようだがそれすら敵わない。それ程恐ろしい物を目の当たりにしたのだ。
では俺達が見た物とは。
「うっ・・・」
梅村は再び口を抑え、今度は外へと飛び出す。そして嘔吐するような声に成らない声が聞こえる。
俺と梅村が見たもの。それは、居間一面に散らばる肉片や、血や、果てには臓器のような物体だ。
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