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まるで先程透明人間の頭部を踏み潰したのが可愛いと思える程だ。度が違い過ぎる。
「あいつは・・・」
そこで藤田の顔が浮かぶ。
「そうだ! 藤田! 藤田は!」
考えるより先に足が出た。
もしかしたらこの藤田家に奴らが潜んでいるかも知れない。それすらも気にせず、今はただ、ひたすらに藤田の安否が心配だった。
「藤田っ!!!」
大声で呼び名を叫びながら藤田の部屋がある二階へと上がった。
そして藤田の部屋と思われる部屋に入るが、藤田はいない。
一瞬息が詰まる想いがしたが、奥にもう一つ部屋が有る事を思い出し、その部屋へと向かった。
「藤田!!!」
呼びつつ勢い良くドアを開ける。
「あっ・・・・・・」
そこで俺は目を疑った。
その部屋で見たのは、布団に横になったまま腹部が破かれて臓器が出ている藤田の母親と、その横に血まみれになりながら横たわる藤田の姿。それから藤田の目の前に三脚に立てられたデジカメだ。
「お、おい・・・藤田・・・」
名前を呼びながら倒れている藤田へと近寄り、揺さ振る。
「おい藤田! 起きろよ!」
名を呼ぶ声は次第に大声へと変わってゆく。揺さ振る手にも力が加わり、胸中に嫌な感じが渦巻くような感覚も覚える。
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