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「おい!!! 藤田!! 起きろって!! 今日は学校は休みだぞ!!!」
意味はもう余り無い。それは分かっているが、やはり藤田を呼ばずにはいられなかった。
その時、階段から素早い足取りで誰かが駆け上がって来る。その音で一時的に正気に戻り、全神経を後ろにあるドア側に向けた。
「二宮君・・・」
背後から聞こえてきた声はやはり梅村だった。
ドアはどうやら俺が閉めたのか、閉じていて、ドア越しからの声だ。
梅村にこの状態を見せる訳には行かない。また吐きかねないからだ。
しかし、今の俺は梅村が入って来るのを止める為の簡単な言葉すらも出て来ない。
「二宮君何かあったの!?」
予想通り梅村は勢い良くドアを開けて入って来た。
「梅村・・・」
俺はゆっくりと梅村に顔を向ける。
その瞬間から、自分の両目付近から暖かさのカケラも無い、冷たい何かが流れてくる。
「うっ! ・・・二宮君、そ・・それは・・・」
俺が頭を動かした為に、丁度藤田の遺体が見える。それを見た梅村は口を抑えて絶句した。
「梅村・・・こんな事って・・・無いよな・・・」
目の前の光景が信じられない俺は、自分でも何を言っているのかが分からない。・・・が、どうやら否定をしているようだ。
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