死者の魂

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「二宮君・・・」 梅村も何が何だか分からないような表情を見せていて、言葉に詰まっている。梅村は後から来たし、藤田に触れて無いから分からないだろうから当然と言えば当然の事だが。 「うっ・・うぅぅっ・・・藤田ぁぁぁぁっ・・・!!!!」 顔を戻し、藤田を見て、泣き崩れる。 俺はただただ、その場で泣きながら藤田の"死"を受け入れるしか無かった。 「に、二宮君・・・しっかり・・・」 梅村も鼻声になっている。恐らく梅村も泣いているのだろう。だが、この涙が何なのかは分からない。少なくとも今俺が思っているのは・・・。 「梅村っ・・・!」 俺はゆっくりと梅村の方へと振り向く。 だが、振り向き終わらない内に、辺りに地を揺さ振るような轟音が鳴り響いた。 「きゃっ・・・! な、何・・・!?」 「!!!」 音は音だけに留まらず、ついには地をも揺らし始めた。それもとてつもなく大きい揺れだ。藤田家にある家具も次から次へと倒れていく。 「まずい! 二宮君、一旦ここを出よう! このままここにいると、倒壊して私達も潰される!」 梅村は言うと、うなだれている俺の腕を力一杯引っ張り、下へと走った。 強制的に下へと引きずり下ろされ、外へと出された俺は、そこから数十メートル先で崩れ行く藤田家や、周りの家々を眺めている。
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