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「・・・ぬぅっ・・・」
倒壊していく家々の中に、何やら物凄い殺気を放っている男が漆黒に染まったボウガンを持ち何故か空【くう】への発砲を繰り返している。
「あの男は・・・!」
「くっ・・・もう何が何だか・・・」
次々に起こる不思議な現象の数々に、俺も梅村も何が何だか分からなくなって来ていた。
男は動き回っている最中、こちらの存在に気付いた。同時に、またあの謎の恐怖感が込み上げてくる。
だが今回単なる『恐怖感』では無いようだ。足が竦み、立っているのもやっと。
「貴様ら。そこから離れていろ」
「えっ・・・?」
男は突然こちらへと忠告を促す。梅村は驚いた表情を見せ戸惑っている。・・・どうやら梅村にはわかっていないようだ。
今は僅かにだが、小さな地震が響いている。これは何かが来るという予兆かも知れない。
その時っ!
「梅村、来るぞっ!」
竦む足を何とか動かし、梅村を引っつかんで右へと跳んだ。
そして、俺らがいた地面を破壊して、土を被った巨大な芋虫のような生物がその姿を顕わにした。
「フン、漸く現れたか」
男は鼻で笑い、ボウガンを構え言う。
「・・・我が兵器の餌としてやろう」
言い放った男は、素早くボウガンに着けられたスコープを覗く。
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