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「・・・詰まらぬ」
男が言い捨て、刀が黒煙と化した刹那、綺麗に芋虫の上方部分と下方部分が切り離され、内の上方部分が消し飛んだ。
辺りには、芋虫の物と思われる、白い液体が飛び散る。
「あの男は・・・本当に人間なのか・・・!?」
辛うじて動かした唇から出た言葉だ。梅村は唇は動いているが、言葉は出ちゃいない。
(まずい・・・! 急いで逃げなければ!!)
恐怖と衝撃が入り混じった複雑な心境の中、心ではそれしか考えられなかった。幸い体は動くし、近くには倒壊した建物が散らばっている。逃げるには今しかないのだ!
「梅村っ!」
小さい声で梅村を呼び、手を引いて急いで近くの瓦礫の下に潜り込んだ。
潜り込んだ時、梅村は前方不注意で頭部を瓦礫の一部に強打して、声を上げてしまった。
「むっ、貴様ら、何をしている? 出て来い」
「くぅっ・・ぅぅ・・・」
頭を押さえ悶絶する梅村。その間にも男の足音は近寄って来る。
男はさっき読心術らしき能力【もの】を使ってみせた。もし俺の考え通り、読心術で心を読む事が可能ならば、この辺り一体に気を集中させて読心術を行えば直ぐに俺らの位置はばれてしまう。
この危機的状況、どうするべきか・・・。
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