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「この辺りにはまだ奴らが潜んでいるやも知れぬ。その命が欲しければ、素直に出て来い。一時【いっとき】ならば貴様らに我が能力【ちから】を貸してやろう・・・」
梅村は頭部に怪我。しかも出血の可能性有り。下手に動けば奴らに襲われる可能性も有り・・・か。ここは大人しく男に従うべきか。
「・・・くっ・・貴方、本当に人間なの?」
梅村が言う。
男は小さく鼻で笑うとこう言った。
「細胞は既に他の物なのかも知れぬがな。しかし、我が肉体は我が物だ」
男はふぅ・・・と、溜め息のような息遣いをしてから、それよりも、と続ける。
「女、頭部から出血をしているようだな。治療をする。早く出て来い」
「治療ったって・・・どうする気だ?」
怪しく思い問い掛ける。男・・・少なくとも医学関係の知識を知ってるようには見えない。道具も持ってないようだし。
しかし、さすがは勘の良い俺。この男がどう治すかなんてとっくに解りきっている。
「ふむ、貴様の勘は間違いではないな。最早我が『De【デッドアイ】』に、叶わぬ事など有りはせぬ」
・・・また読心術をしやがった。
結局の所この男の考えている事が解らない。俺らを本当に助けるのならば、わざわざ身体の自由を奪った必要は無いし、恐怖を引き立てる気配を出す必要性も皆無だ。では逆に殺そう物ならば、助けるという事実があるから、矛盾している。
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