死者の魂

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「うぅぅ・・・」 とうとう梅村はか弱い声を上げて気絶してしまった。だが、それでも男は梅村から手を離そうとはしない。 「おい、まだなのか!?」 開始から早三分程が経っている。それでも俺にとっては長く感じ、苛立った口調で男に問う。 「む・・・、もう終わっているぞ」 「え?」 「この女の治療はとうに済んでいる」 「え・・・じゃ、じゃあさっきの間は何だったんだ?」 男は治療を終わらせていた。 しかしそれではさっきの"間"は説明が着かない。何かをしていたとは思うが、一体何をしていたと言うのだろうか? 「治療は女が気絶した時に終わった。その後は何をしていたか。 ・・・ふむ、暫しこの女の記憶を覗いた」 記憶を覗く!? この男の能力・・・確かデッドアイと言ったか。人の記憶も覗く事が出来るのか!? 「今見た記憶だが・・・貴様、少し前に友を亡くしたのだな?」 「あ・・・」 そうだ。忘れた訳では無いが、俺は藤田を亡くした。今まで一緒に過ごして来た親友・・・。俺がもう少し早く行ってれば・・・。 「貴様・・・二宮竜二よ、お前の友は何か目論見【もくろみ】が有ったようだな。この女からの記憶ではデジタルカメラが見えたが・・・」 デジカメ・・・。あいつが己の身を犠牲にしてまで検証した賭けの証。言うならばあいつの形見だ。しかしさっきの地震で藤田家は崩壊、デジカメも破壊されてしまっただろう。
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