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デジカメが無事とは思えない。あいつの死は・・・犬死に。
「フン、下らん推測をしている暇が有るならば、その形見とやらを探す素振りを見せよ。貴様はその友を・・・藤田裕也を何だと思っているのだ?」
こいつ・・・。知ったような口を聞きやがって。しかし、この男に一体何が有ったというんだ?
俺と似たような境遇が無ければこんな事は言えないだろう。
「俺の過去等どうでもよい。それより、藤田裕也のカメラを探すのだ。何か今回の件について手掛かりが残っているかも知れぬ」
「探すったって・・・この瓦礫の山からどうやって探すってんだよ。お前のその能力【ちから】で探す事は出来ないのか?」
「・・・出来ぬ事はない。しかし、俺が場所を特定してよいのか?」
「・・・どういう意味だ?」
男は一瞬顔をムッとさせる。
「フン、まあよい。では辺り一体の電気の反応を探す。
何も考えるな。心を無にしろ」
「・・・・・」
俺は何故かを聞こうとしたが、聞くと軽くあしらわれるし、それより俺も裕也の事で一杯だったので、黙って言う通りにした。
「・・・ふむ、特定したぞ」
無にしていた心を解く。
それとほぼ同時に、男はゆっくりと振り返った。
それにしても無の時間とは何と短く感じるのだろうか。実際は数十秒は掛かっていただろうが、感じたのはものの数秒程度だ。
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