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「あの辺りからだな。微弱では有るが電気の反応が見られた」
そう言って男が指したのは、丁度藤田家辺りの瓦礫の山だ。この男はインチキなんか使う筈が無い。仮に元から藤田家を知っていたとしたら、最初から俺らに一言言っているだろう。
この男が言うならば間違いは無い・・・筈。
「じゃあ早く見つけよう!」
俺は藤田家の瓦礫(と思われる)へと駆け寄る。
「待つのだ」
しかし、それを男は制止した。
「何だよ!」
思わず言い返す俺。
すると男は真剣な面持ちで言った。
「あそこにはもう一つ、前述したのとは違う反応がある」
「何っ!?」
男は目を閉じながら、その電気の反応があるっぽい場所へと手を翳している。
それは数十秒も続いた。
俺は段々と待ちきれなくなって、男の制止も無視し、急いで藤田家の瓦礫へと向かった。
「もう我慢出来ねぇ! 俺は行く!」
「・・・ムッ! 待つのだ!」
走り、瓦礫の山の一番手前の瓦礫に手を掛けた時だった。俺の声に続く様に、血で全身が赤く染まった、怒口露がこちらへと飛び出して来た!
「うおぉぉっ!」
俺は咄嗟に身を交わし避ける。そして避け終わった直後に、怒口露の口にデジカメが銜【くわ】えられているのを見ていたので、直ぐに後ろを振り返った。
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