25人が本棚に入れています
本棚に追加
返って来たのは、やはり想像通りの答えだった。
「奴は生かしておいては面倒だ。丁度姿も見えるのだ、この場で始末する」
「ちょっ・・・何も殺すこたぁねぇだろ!」
「・・・何を言っているのだ?」
「・・・あ・・・。いやぁ・・・」
何で俺はこのような事を言っているのだろうか?
自分の事が分からない。しかし、一つだけ言える。何故かあの怒口露には懐かしいような感じがするのだ。殺した方が良いのは分かっている。だが同時に、殺してはいけないような感じもするのだ。
「お前、何を考えているのだ?」
分からない。何故なのか・・・。何故庇っているのか。頭が混乱して来そうだ。
悶絶する俺の心を読んでか、男は溜め息を吐いた。
「・・・もうよい」
手をスッと元に戻し、こちらに振り向いた。そうした時、怒口露はいきなり立ち上がり、どこかへと走り去って行ってしまった。
そして出る溜め息。勿論安堵からだ。
「これでよいのだろう?」
やれやれといった様子か。それもそうだろう。こんな地獄の中、人を襲う化け物の身を案ずるのだから。端から見ればただの阿呆だ。
「今のお前の考えは読めぬ。何故かは分からんがな。しかし、あの怒口露とお前の脳からは同じ電流が流れていた。
・・・どういう事なのだ?」
最初のコメントを投稿しよう!