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「うっ・・・」
「む?」
何・・・だ。急に頭痛が襲って来やがった。俺は度々偏頭痛が起こる事はあるが、こんなタイミングでなるとは到底思えない。
何なんだ・・・。
「くうっ・・・」
痛みをこらえ、顔を上げる。そしてたまたま目に入った男の目。そこには、また男が写っており、こちらに手を伸ばしている。
目に写った男の眼も紅く染まっている。これは・・・まさか・・・。
”ここだ・・・”
頭に響く声。
今目の前にいる男と全く同じ声だ(良く見てみれば、目に写る男は目の前の男と瓜二つだ)。
男の声に反応し、瞳の中の男を見詰める。そして痛みを堪えつつ、今聞こえている男の声へと意識を集中させた。
”奴の肉体を破壊するのだ・・”
(肉体を破壊だと・・・?)
小さな声で呟く。
それに反応したかの様に男は返事を返した。
”その男の肉体は我が物だ。俺はお前の目の前の男に肉体を乗っ取られている。奴の肉体を破壊すれば奴は昇天し、肉体は我が元に戻る・・・”
この男は一体何を言っているのか。肉体を破壊すればこの男諸共あの世行きだ。だが男は肉体の破壊を望んでいる。それにはきっと策があるからだろうが・・・。
それに肉体を破壊するにしろどうすれば良いのか?
それは分からない。この男の言う事は不明な点だらけだ。
”肉体の破壊方法は案ずるな。今の俺は精神のみの状態だが、この精神の断片をお前に移す事が可能だ。
その精神はお前の力となり、奴を行動不能程度にはする事の出来る力は身につけられるであろう・・・”
・・・まぁ、案ずるより産むが易しってやつか。実際にやってみよう。
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