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「おっ、お前! 梅村の体を使って何やってるんだ!」
恐る恐る、且つ強い意思で男に尋ねた。
「この女体を借りているのだ。案ずるな、危害は加えぬ」
「借りる・・・? じゃ、じゃあ本来の肉体はどうしたんだ?」
「本来の肉体は奴との戦闘で傷物と化してしまった。修復には暫しの時を要する。この女体はその間の隠れ蓑だ」
「隠れ蓑?」
隠れ蓑だとしたら何も梅村の肉体でなくとも良い。いや、それ以前に隠れ蓑と言う時点でおかしいだろう。
俺は疑問を覚えたが、次に語る男の言葉に、俺の疑問は一層増えてしまう。
「ふむ。我が能力は感情や精神を表に出さねば発動出来ぬ。反面、弱点もまた、表に出さねば表れぬ」
この男にも弱点は有ったんだな。
でも・・・。
「それと隠れ蓑とは何の関係が有るんだ?」
俺の質問に、男は頭を抱えた。まるで答えるのが嫌かの様だ。
だが、一息吐くと、怖ず怖ずと言い出した。
「俺は何者かによって洗脳されるのだ」
「洗脳?
そういやぁあん時も洗脳がどうたらこうたらって言ってたな?
ありゃこの事なのか?」
男は黙って頷く。
しかし、本当に洗脳される事があるとするならば、一つ、矛盾というか、おかしな点がある。
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