25人が本棚に入れています
本棚に追加
今度は俺がごめんごめん。と、謝った。杏は「別にいいよ」と偉そうな態度で俺の謝罪を受け入れる。
少しむっとしながらも杏が話しを続けているので、それに耳を傾けた。
「でも裕也は・・・今日は来ないかもね」
「え?何で?」
「今日裕也は、かなり魘【うな】されてたから・・・。息も荒かったし」
俺はこの時嫌な予感がした。しかし俺はただの"予感"としか見ていなかった。・・・後にこの予感が的中するとも知らず、いや、的中後俺達が恐怖を味わうということも知らず・・・。
時間は進み、今は四時間目の体育。大体藤田はこの時間から来る。
・・・今日もそうだ。
「お、藤田の野郎が来たぞ!」
続いてジャージ姿で藤田が車から降りてきた。
俺と今まで話をしていた伊藤勇助が言った。勇助は俺や、藤田と仲が良い。
「藤田・・・あいつ大丈夫なのか?」
こっそりと呟く。俺の声を拾った勇助が、聞いてきた。
「来たって事は大丈夫なんじゃねぇか? お前もそう思うだろ?」
先程勇助には話したので、理解しているようだ。勇助によると、勇助自身も謎の頭痛が起きていたらしい。・・・尤【もっと】も、勇助は偏頭痛と解釈してほったらかしにしたらしいが。
「よう、ニノ!」
藤田は軽く手を振りながらグラウンドの俺達がいる所へ走った。
最初のコメントを投稿しよう!