25人が本棚に入れています
本棚に追加
「お前遅【おせ】ぇよ」
勇助が藤田に言う。藤田は「うっせぇ」といつものようなテンションだ。
「お前今日は何で遅れたんだ?」
直感で、もしやと思い、俺は藤田に質問をしてみた。案の定藤田の返答はこうだ。
「そうそう、さっきまでかなり頭痛があってさ! でも家出た瞬間から痛みが治ってよ」
藤田が言うに、やはり俺と同じ症状があったようだ。更に聞くと、全身の力が抜けた事も解った。
時間は進み今は体育が終わり、教室へ帰る時だ。いつも話をしながら帰る。今日は、例の頭痛についてだ。
「お前も!?」
「ああ」
藤田は俺が同じ症状が起きた事に心底驚いているようだ。
「お前もなんだよなぁ?」
勇助が少しばかり不安げな表情を見せながら藤田に言う。やはりこれは何かがありそう・・・いや、既にあるかも知れない。
「そういえば・・・」
ふと藤田が何かに気付いたようだ。
「ん? どうした?」
「今日はやけに生徒の数が少なくないか?」
「そういえば・・・」
言われてみれば確かにそうだ。俺は一時間目(朝)からいるが、生徒が少ない気がする。今朝から数えて、あった生徒だけでは三十人程しかいないのではないだろうか。
最初のコメントを投稿しよう!