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「今日もようやくバイト終わるな~?客もまばらになってきた」
話しかけてきたのはバイトの同僚である、佐々倉 亮一。
一応彼は僕よりも歳上なのだが、彼はそんなことは気にせずに僕に対して接してくれる。
「まだ終わってないよ、亮。最後までちゃんと仕事する!」
僕は客が帰ったテーブルを拭きながら、ぼーっと突っ立っている亮一を注意した。
「はいはい、相変わらず真面目なのな?」
そう言いながらも亮一は、明らかにやる気無い感じでテーブルを拭き始める。
今の時刻は11時30分。後30分でこの居酒屋は閉まるのだが、店内はまだお客で賑わっている。
僕は、その気になれば、この店中にいる人全員を消す事ができる。
もちろん僕にそんな気は無く、幸いにもマトモな神経を持った僕は、不意にでも能力が発動しないように“枷”を付けた。
能力を発動する時は、必ず対象物に手をかざす。
その行為自体には全く意味をなさないのだが、そう決める事で無作為に能力を発動するのを自分で制限している。
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