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「それじゃあ今日のラストだ、この小屋を“消す”んだ1秒は切るようにな?」
それを聞き終わるか終わらないうちに、僕は目の前にある古びたボロ小屋に手をかざした。
この小屋は、もう何年も使われていないのは知っている。
だから僕は安心して“イメージ”を始めた。
ストップウォッチの音が静かな山の中でカチリと鳴った瞬間、目の前にあったボロ小屋はこの世から消えてしまった。
いや……、正確には“消した”の方が正しい。
小屋が“消えた”を確認して、僕はかざしていた手を下ろした。
「どうだった?父さん」
僕は背後にいる人物に話しかける。
「うん、非常にスムーズ良くイメージ出来たな?偉いぞ恭介」
父は、いつもの優しい笑顔でそう言い、僕の頭をわしゃわしゃと撫でた。
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