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「いいかー今週中には進路用紙を提出するんだぞー。とくにまだ出してないやつな。しっかり考えとけ」
先生の一言に、教室中に生徒の声がざわついた。
俺達も高3。
進路を考える、そんな時期がやってきた。
「先生!俺はもう出してるからいいよね!?」
手を高らかにあげて叫んでいるのは大地だ。
「佐藤! お前バカか! ちゃんとした奴もっかい出してこい!」
「はぁ? ちゃんとした奴だしたじゃん……って、おい!」
大地が勢いよく立ち上がり先生に近寄ろうとした時、終了のチャイムが鳴り響く。
「じゃあーHR終わり!!気をつけて帰れよー」
「ちょっと先生!!」
クラス中から笑い声が響く中、俺は鞄を担いだ。
「ちょっと海斗くん、何帰ろうとしてんの!」
くるりと振り向いた大地が泣き目で俺に寄ってきた。
「……帰んないし、部活」
「じゃあ俺もいこ」
「来るんならバスケ部入れよ」
俺がそう言うと、大地は目を反らして笑った。
「はは、それはやめとく」
大地は、体育館に向かって歩き出していた。
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