進路

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「西川ーっ!ちゃんと相手みてんのかー!!さっきから取られてばっかりだろ!」 試合中、顧問が俺を指さして一喝する。 「……はい、すみません」 俺のミスが目立ち、結局試合は負けた。 バスケ下手くそになっているのは、自分でもわかってる。 「あーあーあーどんまい、海斗」 体育館の端に置いたパイプ椅子に座った大地が、声をかけてきた。 「まあまあ、そんな落ち込むなって」 大地はそう言って、パックのお茶を俺に差し出す。 「……サンキュ」 俺はお茶を受け取り、大地の隣に座って。 お茶を口に流し込むと、熱を帯びた体に冷たいお茶が染みわたる。 「やっぱ、授業とは違うよなー……」 次の試合を見つめ、大地はつぶやいた。 「……大地、お前進路用紙になに書いたんだよ」 「え?石油王だけど?」 「ブッゴホッ……!」 口に含んでたお茶を吹き出してしまった。
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