報 い

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違います。僕は彼女の感じるままの自身の愛しさを、自由であるうちに解き放ってやったのです。季節を違えた想いは(たとえそうと知らずに生まれたとしても)、一時の戯れと同じく、初めから憐れみを持たぬ心なのではないでしょうか。もし、後に沸き起こる想いがあろうと、それもまた一介の事実に過ぎないのでしょう。     薄らぐ雪に戯れし   赤き頬に刃の光   冬の百合を知りながら   朽ちた前世に   心留むる    窓を隔て、雪が降りしきります。透明な硝子一枚が僕を冬の不幸から守り続けてくれるなんて、それほどこの部屋は隔離され易いのでしょうか。けれど――。  やがて僕の娘達が血を吸いにやって来るに違いありません。母がそうしたように易々とこの頑なな心に侵入し、大切な肉の表面に彼女等の唇を突き立てるのでしょう。僕は分け与える行為を繰り返し、幾度も頂点に達しながら干からびる。これが、戯れに汚した当然の報いなのです。    
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