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一瞬、痛みに顔が歪んで、だけど目の前の伊織に笑顔を向ければ。
その唇が赤く艶やかに濡れていて、痛む腰に直に響いた。
それをねじ伏せて笑顔を向ける。
「おはよう。」
朝でもないのに、わざと呟けば。
「王子様のキスで目覚めた王子様は、ずっと傍にいると誓って幸せに暮らしましたとさ。」
「何……だよ。聞いてたのか?」
恥ずかしいだろって笑えば、ウインクして伊織が言葉を繋げる。
「超可愛い王子様が、記憶を目覚めさせるためにキスしてくれただろ?それなのに思い出さなかったら失礼だろうが。」
おまじないが効くのに、ちょっとタイムラグがあったけどな、と笑った。
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