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「1年ぶり…」
防波堤に腰掛けて海を眺めていた俺の横に、そんな挨拶と共に伸びた長い影。
眩しそうに見上げれば、今では年に一度しか尋ねてくる事のない陽平の姿がそこにはあった。
その姿を怪訝そうに見つめてしまう。
「まだあの日までには、2週間も早いはずだけど?」
年に一度、メンバーで集まろうと約束をした日まで、あと2週間。
フライングし過ぎだろって笑いながらも予期せぬ訪問が嬉しくて、自分の隣に座るようコンクリートをトントンと叩いて招く。
「たまには抜け駆けして、廉くんの顔を見たいなぁなんて思ってさ。」
思ってもいないことをさらっと言いながら背伸びをした陽平。
服装のせいだろうか一年前より大人っぽい雰囲気を漂わせて足を投げ出し防波堤へと腰掛けた。
誰かを思ってか1人分空けた空間。
その横顔は眩しそうに遠い水平線を見つめた。
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