天見愛流

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「そうだな、あの羽か? それともあの十字架デザインか?」  玲菜はマリンブルーの瞳をさらに鋭くし、桜色の唇をますます尖がらせて睨んできた。  さらにマズいことになったな……こりゃ参った。  ちなみに、俺は玲菜自身も褒めてもらいたがっているようにも少し感じたのだが……気のせいか。 「確かに少々奇抜な服装ではありました。しかし本人の趣味をとやかく言う必要はありません。そんなことよりも、神祇官としての目で彼女を見てはいなかったのですか」  神祇官として――――まさか! 「天見が異界関係の事件に関わっているのか?」  まさかあの天見が。 「スカートの側面に糸のほつれがあったのでよく見てみましたら、不自然な切れ込みが入っておりましたの。あれはとてもデザインには見えませんでしたわ」 「何だと」 「何か……鈍い刃物か、猛獣の爪が引き裂いたような痕跡でした。それに、わずかな魔気も感じましたわ」  その時、駅の方から電子音のメロディとともに、列車の動き出す重苦しい音が聞こえてきた。 「彼女は先に行ってしまったようですけれど」 「行ってみるか、三笠町へ」  その後すぐに俺たちはニコルさんの運転する車に飛び乗り、天見の実家があるという三笠町へと向かった。
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